できないこと

スポーツ用品店へ行った。

運動靴コーナーに車椅子のスタッフさんがいらっしゃった。

目が合うとニコッと微笑んでくれた。

一生懸命「いらっしゃいませ~!」と明るい声を出している。

様子を見ていると少しだけ知的な障がいもお持ちかもしれない。

 

この方はもしかしたら、

棚の間を素早く動けないかもしれない。

高い場所にある靴を取れないかもしれない。

素早く話したり調べたりできないかもしれない。

色んな気持ちになった。

 

色んな気持ちになりながらその辺をうろうろして、

元の靴コーナーに戻ると、

うちのかーちゃんがそのスタッフさんに何かを尋ねていた。

 

スタッフさんは専用スマホを活用し、

希望のサイズや色の情報を打ち込み在庫を調べてくれていた。

ゆっくり操作をしていて、少し時間がかかった。

話がとても分かりやすいというわけでもない。

しかしとても親身になってくれて一生懸命だ。

 

かーちゃんが希望している靴が棚の高い場所にあった。

「あれだ!」

スタッフさんからはその靴がとどかない。

 

かーちゃんが棚からその靴を取った。

 

そうだ。

できる人がやればいい。

 

会計が済み、

「ありがとうございました!」と花が咲くような笑顔で見送ってくれた。

世の中には笑顔がない店員さんってたくさんいる。

素晴らしい接客を受け、とても嬉しい気持ちで帰った。

 

誰にでも、できることできないこと、得意不得意がある。

できない人のことを、できる人が手助けすればいいし、

できなくても、できないなりに、できる限りのことを

ゆっくり、一生懸命やればいい。

そう感じた。